2023年05月02日
入学式や結婚式などに着物を着るという人も多いですが、あまり使わない着物を箪笥から出してみるとシワができてしまっていたというケースはあります。
急いでいる時にはクリーニングが間に合わないという場合には、アイロンを使ったしわ取りがしたくなるものです。しかし、素材によってはアイロンがけの方法を間違えてしまうとシミや生地が潰れて着物らしい雰囲気を失ってしまうため注意が必要です。
目次
・アイロンをかけることのできる素材
・アイロンを避けた方が良い素材と必要ない素材
・部分的なしわを伸ばす方法について
・全体的なシワを取るための方法について
・着物にアイロンをかけるときの注意点
・シワを作らないためには畳み方が重要
・まとめ
着物と一言で言っても、その種類はさまざまなものがあります。普段着におすすめなのが木綿です。丈夫で肌触りが良く気軽に自宅で洗濯が行え、シワができたらアイロンで伸ばすことが可能となっています。
麻も肌触りが良いのが特徴で、吸水性が高く発散も早い素材です。汗をかく時期に最適な素材で、自宅で洗濯することもできます。アイロンを当てると風合いが変わってしまう、生地にシボと呼ばれる凸凹があるものは、押し付けると凸凹がなくなってしまいます。ハンガーにかけておくだけでしわ取りできますが、気になるシワがある場合には、霧吹きをかけた上で当て布をしてからアイロンをあてます。
入学式・結婚式などの晴れの日に着ることが多いのが正絹です。絹は代表的な素材で、最も上質で格式の高い素材とされています。美しい光沢と手触りが特徴ですが、水に濡れると縮むほか、熱にも弱い素材ですのでアイロンは避けるようにします。デリケートな素材ですので、スチームを当てたら変色しシミになるなどの問題が出ています。
ポリエステルも絹に似た光沢のある素材です。乾きやすく丈夫な素材ですので、自宅で気軽に洗うことができます。アイロンなどを当てなくても着物ハンガーにかけておけば、自然にシワを伸ばすことができるというのも便利なポイントです。
着物にアイロンをかける際には、どんな素材でも直接当てないというのが基本です。特に正絹はデリケートな素材ですので、スチームアイロンの蒸気で生地を傷めてしまうことにつながります。
部分的なシワを伸ばす際も、直接アイロンを当てないように気をつけます。気になる部分のシワに白い当て布をし、アイロンの温度を中温〜高温に設定したら、繊維に沿って小刻みに動かしながらシワを伸ばします。
手早く行うことがコツで、当て布は色移りを防ぐため必ず白いものを選びます。しっかりシワがついている場合には、水で濡らした当て布や濡れタオルで叩き、シワの上に半紙を置き、ドライモードでアイロンをかけることが良いとされています。
全体的なしわ取りをする際には、着物の裏の裾から始めることが基本です。裾線が歪んでしまわぬように、折り目と縫い目を対してアイロンを垂直に動かします。軽く繊維に沿って当てることがポイントです。
裾線・身頃・衿の順番でかけていきます。かけ終わったら着物ハンガーに吊るして、シワがないかを全体的にチェックします。生地の縮み・たるみなどの気になる部分があったら、その部分に再度アイロンをかけて整えます。裏側が終わったら表面側も行います。当て布をしつつ裏側と同じ全体にかけていきますが、刺繍などには注意します。全体的に問題がないかを確認して、整えたら完了です。
着物は特に縫い目のきせという部分が潰れてしまうと、雰囲気が壊れてしまいます。きせの部分は、アイロンをかけずに、弱い蒸気で整えると雰囲気を壊さずに整えられます。
自宅で着物にアイロンをかけることはできますが、正絹の場合にはクリーニングに出した方が無難です。しかし、自宅でアイロンを行う際には、必ず当て布をしてからシワを伸ばすことが重要となります。水で湿らせるということもしわ取りのポイントですが、霧吹きなどで直接着物を濡らすのではなく、当て布の上から湿らせるようにします。直接水をかけてしまうと、シミができる可能性があります。
アイロンを動かす時には、繊維を潰さないように軽く素早く動かします。強く押しつけてゆっくりかけると、風合いが失われテカリなどにつながります。
着物はできるだけアイロンをかけないことが理想的ですので、収納する時点でシワを作らない工夫をするということがポイントです。
綺麗に収納するときのコツとしては、着物の縫い目に沿って畳むということが大切です。形状は複雑ではないため、手順が分かれば簡単に畳むことができます。綺麗に畳んで収納することが最良の手入れ方法といえます。
丁寧に整えたら畳紙にいれ、箪笥や桐の箱に余裕を持って入れます。いっぱい詰め込むと、圧力でシワの原因になるため注意します。また、使った後には着物ハンガーなどにかけてしばらく吊るしておくと、シワが伸びます。
自宅で着物にアイロンをかけてしわ取りすることはできますが、失敗するとシミや生地を傷めることにも繋がってしまいます。それを避ける為にも着る数日前には出しておきシワがないかを確認した上で、着物ハンガーなどにかけておくということが良いとされます。シワを取る効果だけではなく、湿気や匂いなどの対策にも有効です。アイロンをかける際は、当て布をしながら優しくシワを伸ばしていくことが大切です。